
会社員と作業療法士の生涯年収を比べると、正直、作業療法士の生涯年収は低いです。
実際にどれくらい低いの?
じゃあ作業療法士は会社員と比べると損をしてしまうの?
と不安を感じる人もいるかもしれません。
しかし、生涯年収は、男女差があり、一概に比較できる物でもないのです。
結論的には男性は確かに会社員の方が、生涯年収が高くなる傾向にありますが、女性を限定的に見れば作業療法士の方が年収が高くなる傾向にあります。
また、男性であっても、会社員より作業療法士の方がメリットが大きい場合もあります。
そのため、作業療法士を続けるかどうか迷っている人や、学生で作業療法士ってコスパどうなの?と不安に思っている方はこの記事を確認してみて下さいね。
ママになって作業療法士をこれから続けるか迷っている人にも参考になる記事です。
作業療法士が会社員に比べ損をする理由
リハビリ職は平均年収が低い

厚生労働省が出している令和5年度の「賃金基本統計調査」によると、PT,OT、STの平均年収は約433万円です。
一般職種と比較すると、平均年収が低いことがわかります。
項目 | リハビリ職種 | 一般職 |
---|---|---|
平均年収 | 4,306,800円 | 5,108,900円 |
平均月収 | 300,700円 | 341,700円 |
平均賞与 | 698,400円 | 1,008,500円 |
平均年齢 | 35.6歳 | 44.2歳 |
ただ、リハビリ職種の平均年齢を考えると、一般職種より若年層が多いので、その点で一概に比較はできませんよね。

国税庁が発表した「民間給与実態統計調査」2022年のデータによると日本の平均年収は約458万円です。
一般的な会社員は日本の平均年収より、かなり高めの年収ということですね。
ホワイトーカラーと言われる職業はやはり強いのでしょうね。
そのため、年代別の年収比較もしていきます。
リハビリ職種と一般職の年収比較
年代別の年収比較表はこちら。
年代 | リハビリ職種の平均年収(円) | 一般職種の平均年収(円) |
20代 | 335.8万円 | 360万円 |
30代 | 421.4万円 | 451万円 |
40代 | 497.6万円 | 519万円 |
50代以上 | 515万円 | 607万円 |
20代のうちからリハビリ職は、一般職よりも賃金が低いことがわかります。
また、年代が進むにつれ、その差は大きくなり、50代以上となると、92万円もの差がついていますね。

ここまで年収だけをみてみると、明らかにリハビリ職種の方が会社員より損をしています。
しかし、これは男女別ではないデータとして、参考にして下さい。
次は男女の平均年収の違いについて考えていきましょう。
男女の平均年収の違い

こちらは男女別の平均演習を厚生労働省が出している令和5年度の「賃金基本統計調査」を参考に作成した表です。
男女別にみた場合、男性の平均年収は4,210,800円です。
女性は3,151,200円です。
性別 | 平均年収(円) |
---|---|
男性 | 4,210,800円 |
女性 | 3,151,200円 |
年代別に分けた場合でも、女性の方が常に平均年収が低いことがわかります。
年代 | 男性の平均年収(円) | 女性の平均年収(円) |
---|---|---|
20代 | 385万円 | 337万円 |
30代 | 504万円 | 390万円 |
40代 | 601万円 | 420万円 |
50代以上 | 680万円 | 442万円 |
今の日本の現状における、男女の賃金の格差は年代が進むごとに大きくなっています。
そのため、女性と男性で平均年収の比較という意味では違ってきますよね。
女性の平均年収とリハビリ職種の平均年数との比較
次はリハビリ職種と女性の平均年収を比較していきましょう。
それに加えて女性作業療法士の年収と比べると性あるのか見ていきましょう。
結果がこちらです。
年代 | リハビリ職種の平均年収(円) | 女性の平均年収(円) | 女性作業療法士の平均年収 |
---|---|---|---|
20代 | 335.8万円 | 337万円 | 341.4万円 |
30代 | 421.4万円 | 390万円 | 386.5万円 |
40代 | 497.6万円 | 420万円 | 469.4万円 |
50代以上 | 515万円 | 442万円 | 525.5万円 |
女性の平均年収と比較すると、リハビリ職種の平均年収は高いことがわかります。
また女性作業療法士のみに限定した場合でも、40代では女性の平均年収より高いことがわかります。
ただ、30代まではほぼ同程度なので、長く続けるほど、女性作業療法士は平均年収との差が広がりますね。
女性作業療法士の50代は比率的にかなり少なめなので、管理職や教員などの人が多く、平均年収が高まっているのかもしれませんね。

そのため、リハビリ職種でも自分が女性だった場合は、一般的な女性の平均年収よりは高い生涯賃金をもらえる可能性が高いということです。
逆に、男性だった場合には一般的な男性の平均年収より、かなり低い生涯賃金となる可能性が示唆されます。
リハビリ職種の中での男女差は?

先ほどの章でもわかるように、リハビリ職の中でも給与の男女差はもちろんあるんです。
リハビリ職種の男女別の平均年収は以下の通りです:
- 男性:422万円
- 女性:394万円
このデータは、厚生労働省の賃金基本統計調査の結果を基にしています。
この結果的にも作業療法士の中にも男女差は存在しています。
女性の方が低賃金であることがわかりますね。
なぜ、男性の方が平均年収が高い?
- 男性の方が管理職が多い
- 女性はパートである場合も増える
- 女性は賃金ではなく、条件で仕事を選ぶことがおおい
などが予測されます。
作業療法士が一般的な会社員より得をすることはない?
この記事では、リハビリ職種と一般職種の年収の平均や、その中でも女性の平均年収について焦点を当てました。
では、女性であっても、男性であっても作業療法士だった場合、一般的な会社員より得することはないの?という点についてお話していきます。
転職しやすい

一般的な会社員より、資格職であるがゆえに転職しやすいのは確かです。
人間関係に疲弊した…、家族の引っ越しで自分も引っ越さなければいけないなど、様々な事情で転職することになる場合もありますよね。
そんな時に転職のしやすさというのは、一生の仕事とする上では、男女ともに重要な視点ですね。
比較的ライフワークバランスを取りやすい職種

作業療法士は比較的ライフワークバランスを取りやすい職種だと言えます。
深夜までの残業や、会社同士営業的な付き合いなども、一般的な会社員に比べると少ないです。
看護師のような夜勤もないですし、家族との時間を大事にすることができる職種です。

作業療法士の男性は保育園の送迎を担当していたり、自宅へ帰る時間も早いことからライフワークバランスはうまく取れている人が多いですよ。
人の役に立っているという実感を得やすい

仕事というのは、一般的に楽しくてやっている!という人の方が少ないのではないでしょうか。
もちろん、作業療法士も楽しい瞬間ばかりではないですが、患者さんや利用者さんの回復や感謝の言葉で「やりがい」を強く感じ、人の役に立っているという実感を得やすい職種です。
そのため、低収入でも長く続けられるという人も実際にいますよ。
学歴が重要視されないこと

作業療法の世界では比較的学歴も重要視されません。
国公立大学出身だからと言って特に優遇されることもありません。
そのため低学歴であっても資格さえ持っていれば対等な立場として働くことができるのも魅力です。

まれに専門学校と大学で初任給が変わるという職場もありますが、特に大きく優劣がつくわけではありません。
学歴に縛られたくない人にとってはありがたい傾向ですよね。
男性作業療法士なら管理職になれる確率が高い

世間的にもそうですが、作業療法士の中でも、男性は管理職になる割合が高いです。
そして、作業療法士の男女比は約4対6程度です。
男性も増えてはいますが、まだまだ女性比率が高い職種なのです。

私は3法人経験がありますが、管理職は男性か、独身女性の2択でしたね。
男性が少ない中で、男性が管理職になる割合が高いということが実情としてあります。
そのため、管理職になりたい男性作業療法士からすると、作業療法士の中での管理職になるのは、一般職で管理職になるよりかなりハードルは低いでしょう。
理学療法士は男女比で言えば逆なので、そういった意味でも男性作業療法士は管理職になる確率が高いと言えます。
まとめ

今回は作業療法士は会社員と比較して、損をするのか?というテーマでまとめました。
生涯賃金においては確かに、一般的な会社員より作業療法士の方が年収が低くなる、という結果ではあります。
しかし、生涯賃金の差を男女別でみた時には、女性作業療法士の方が生涯賃金は、一般的な女性の生涯賃金より高くなる傾向にあることをお伝えしました。
また、生涯賃金は低くても、作業療法士がお得になるメリットもお伝えしました。
低賃金ではあるが、ライフワークバランスを取りやすい職種であるということは、妻である女性が働き続けられるサポートもできます。
そのため、夫婦二人で考えた時には生涯賃金が高くなるという見方もできます。
また、男性の作業療法士は比較的管理者になりやすく、作業療法士の中でも年収は高い傾向にあります。
だからと言って、女性にはおすすめできないということではなく、女性の場合は、給与で考えるよりは夜勤がなく、比較的働き続けやすい職種という点で作業療法士をつづけることをおすすめできます。