
病院や施設で働くリハ職より、健康な人に対するトレーニングを行うパーソナルトレーナーに興味があるというリハ職もいますよね。
特に理学療法士では、身体機能面にフューチャーできるパーソナルトレーナーになることを目標にしている人も実際にいます。
ではパーソナルトレーナーになるには具体的にはどうすればよいのでしょうか?
今回は、パーソナルトレーナーの現状や、働き方を紹介していきます。
パーソナルトレーナーになるには資格が必要?

パーソナルトレーナーという職業には、基本的に資格取得の義務はありません。
そのため、パーソナルトレーナーであると名乗れば、パーソナルトレーナーとして働くことができます。
ただ、近年では知識、技術不足のパーソナルトレーナーが増えたことによる、トレーニング中の事故や、効果が出ないなどの声も多く聞かれるようになってきているのが現状です。
そのためクライエントも資格を持っているパーソナルトレーナーを選ぶという点からも、クライエントの信頼獲得のため資格取得はしておいた方が良いでしょう。
パーソナルトレーナーが資格を取得するメリット
スポーツジムなどの企業に就職するとしても、資格があれば就職しやすくなり、給与面でも優遇されます。

資格は知識や技術の証明になりますからね。
資格での知識的な照明と、実技のスキルが合わさってこそ結果が出せます。
理学療法士だけでなく、本気でトレーナーになるためには、他の資格も取得した方が良いでしょう。
パーソナルトレーナーの資格一覧

理学療法士や作業療法士資格を持っていることも、パーソナルトレーナーとして働くうえでは有利になります。
そして、それに加えての他の資格を取ることで、知識が増え、パーソナルトレーナーに近づきます。
パーソナルトレーナーになるための資格について記載しています。
パーソナルトレーナーとして、知識をつけるための資格はいくつかあります。
その中でも特に、NESTA PFT、NSCA CPT、JATI ATIの3つの資格は、トレーナー資格にチャレンジするうえで有名で、比較的取りやすい資格です。
資格名 | どんな資格なのか? |
---|---|
NESTA PFT | 全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会NESTAが認定敷いている資格制度。更新制度あり 健康、フィットネス(体力)、ウェルネス(心身の状態)の改善・向上をサポートするプロとしての総合的な知識・技術を習得していることを証明する資格 2022年度の合格率は82.3% |
NSCA CPT | 全米ストレングス&コンディショニング協会(National Strength and Conditioning Association)NSCAが認定している資格制度。更新制度あり NESTA-PFTでは運動スキルや生理学だけでなく、ビジネススキルを学べることが特徴。 世界的な認知度も高い。 認定試験は全125問で、合格率は約50~60%です。 |
JATI ATI | 日本トレーニング指導者協会(JATI)が認定する資格。 日本の環境に合ったトレーニング理論・技能・知識を証明している点が特徴。 3つのレベルの資格があります。 (1)初級に相当する「トレーニング指導者(JATI-ATI)」 (2)中級に相当する「上級トレーニング指導者(JATI-AATI)」 (3)最上級資格である「特別上級トレーニング指導者(JATI-SATI)」 NSCA-CPTの資格を取得している場合は、講習会が免除 合格率は一般対象認定試験で80~90%です。 |
NASM PES | NASMとはNational Academy of Sports Medicine(全米スポーツ医学協会)認定資格。 現在の代表は理学療法士である PESとは「Performance Enhancement Specialist」を意味しています。直訳すると、パフォーマンスを向上させるスペシャリスト。オンラインでの試験を受けることができます。 |
NESTA スペシャリスト | テニス、ゴルフ、スポーツパフォーマンス、スイミング、ウェイトマネジメントなどの特定の分野でのスキルを得る資格。 NESTAスペシャリスト資格はNESTA-PFTの更新にも役立つ。 |
CSCS (NSCA CSCS) | アスリートやスポーツ競技者の指導も視野に入れたCSCSは、より専門性の高い知識やスキルを求められるため、CPTの上位資格に位置づけられています |
JHCA-FC | ホリスティックコンディショニング協会の資格『フィジカルコンディショナー(JHCA-FC) 協会が認める「基本資格」 |
JHCA-HC | 協会が認める従来のパーソナルトレーナーやコンディショニングトレーナーのもう一段階上の資格 |
JHCA-HCAD | ホリスティックコンディショニング協会の最上級の資格です。FNC(機能的神経-筋コンディショニング)からFJC(機能的関節コンディショニング)やFMC(機能的メンタルコンディショニング)、あるいはFRC(機能的リカバリーコンディショニング)などのアプローチにより、正常な体軸確保を図ることができるというレベル |
JSPO-AT | 日本スポーツ協会認定のアスレティックトレーナー アスレティックトレーナーは国際競技大会をはじめとして、国民体育大会や国内トップリーグで活躍するアスリートをサポート スポーツドクター及びコーチとの緊密な協力のもとに、競技者の健康管理、傷害予防、スポーツ外傷・障害の救急処置、アスレティックリハビリテーション及びトレーニング、コンディショニング等にあたる者 合格率は10%以下であり、資格取得は難関 |
公認トレーニング指導士 | 公益財団法人 日本スポーツ施設協会認定資格 公認トレーニング指導士には、スポーツ施設に求められるリスク管理、スポーツの法的責任などの施設管理運営面、スポーツ科学・医学、栄養学等の理論の知識を有すること、対象や目的に応じた実技指導などを実践する |
健康運動指導士 | 厚生労働省所管の公益財団法人 健康・体力づくり事業財団が資格の認定 健康運動指導士講習会は申し込めば誰でも参加できるものではなく、書類審査によって受講の可否が決定 |
健康運動実践指導者 | 生労働省)所管の団体が認定するトレーナー関連資格 理学療法士や作業療法士も受講可能資格に入っています。 |
NATA ATC | NATAは、National Athletic Trainer’s Association(全米アスレティック・トレーナーズ協会)の略です。 そしてNATA認定トレーナーは、ATC(Certified Athletic Trainer)と呼ばれ、アメリカのプロスポーツ業界で活躍が可能。 |
理学療法士・柔道整復師・鍼灸師・管理栄養士 | 医療系の知識を要す国家資格 |

パーソナルトレーナーの年収は?
パーソナルトレーナーの平均年収は350万円程度と言われています。
一般的な会社員の平均よりも低いですよね。

平均年収が低いならPTやOTをやっている方が良いのかな?と思う人も多いかも。
ただ、パーソナルトレーナーで独立開業した場合は、1000万円以上稼いでいるというパーソナルトレーナーも多くいます。
そのため、自分の頑張り次第で年収をあげられる職業であると言えるでしょう。
パーソナルトレーナーが働く場所

パーソナルトレーナーが働く場所はどこなのか、解説していきます。
フィットネスクラブやジム
正社員やアルバイトとして雇われて、フィットネスクラブやジムにて働くという人もいます。
この場合は安定した収入と、福利厚生が魅力です。
また自分自身の健康にも寄与できますね。
また、予防医療の観点から一般的な方たちへの健康指導が可能となります。
スポーツ選手との個人契約
スポーツ選手と個人契約をしているというパーソナルトレーナーもいます。
これには資格知識に加えて、実績も必要になってきますね。
一流スポーツ選手の多くはアスレティックトレーナーや専属のトレーナーをつけて、コンディショニングをしている人も多いのでやりがいのある仕事であると言えます。
うまく個人契約が続けば、安定した収入となりますが、集客できなければ不安定な収入となりがちなのが、デメリットです。
また、契約書の管理や作成、会計処理や、トレーニング計画の作成など、個人で行うからには自分で行う必要があります。
また、クライアントの怪我などに備えるため、損害賠償責任保険に加入するなどの対策が必要になることも考えられます。

自分のペースで働けるって、女性にとっても良いことかもしれませんよね。
収入を多くは望まなくても、働き方の選択肢がひろがりますよね。
一般の人との個人契約
最近はボディメイクと言われる言葉も一般的になってきました。
一般の方の健康や美容の意識も高まり、パーソナルトレーニングのニーズは広がっています。
独立開業して、ジムを経営していくことで給与は青天井であり、頑張れば頑張るほど上がる可能性もあります。
また、ジムでなく、オンラインパーソナルのような手法も増えてきているため、自分のジムスペースがなくても、開業することができるようになってきていますね。

リハビリテーションに従事する場合と違い、診療報酬ではなく、自分で料金を設定できるからこそ、給与へ反映されると大きいですよね。
パーソナルトレーナーに必要な知識、能力、実績
心身機能に関する知識
パーソナルトレーナーに必要な知識
- 運動学
- 生理学
- 解剖学
- 心理学
- リハビリテーション医学
リハビリ職であれば、これらの心身機能に関する知識はある程度担保されています。
そのため、違う職種になるとしても知識が活かせるという点で、パーソナルトレーナーになるのは最適ですね。
栄養学
リハビリテーション職で、病院や施設での栄養管理に関われるという人は少ないです。
そのため、栄養学については新たな知識として、得る必要があります。
トレーニングに置いて、栄養指導は大きな比重を持つ重要な視点です。
そのため、栄養学についても深く学ぶ必要があります。
宣伝能力

リハ職の場合は、集客を考えるという経験をすることはまずありません。
病院には患者さんがあふれており、来た患者さんを治療していくという場合が多いからです。
パーソナルトレーナーの場合は、まずは集客するためのマーケティングや、経営の知識も必要です。
そのための宣伝を戦略的にしていくのかという点で、マーケティングの能力は欠かせない物となるでしょう。
コミュニケーション能力

集客したからと言って、クライアントとのコミュニケーションがうまくいかないと、口コミや評価が下げられてしまいます。
信頼関係の構築がなければトレーニングもままなりません。
そのため、様々なタイプの人に合わせられるコミュニケーション能力を身に着けている人は強いです。
どんな実績があると良い?
パーソナルトレーナーに実績は必ずしも必要ではありません。
しかし、「パーソナルトレーナーとしては初めてで、特にこれまでの実績はありません。」という宣伝文句でいきなり顧客は来るのでしょうか?
きっと来ませんよね。
そのため、最初はフィットネスクラブやジムでのパーソナルトレーニングを実施したり、知り合いなどを通じて、パーソナルトレーナーとしての実績を積む必要があります。
最近では、ココナラなどの技術を切り売りできるタイプのオンラインサービスでも顧客を募集できます。
まだココナラでの実績が少ない分野ではありますが、理学療法士、作業療法士などもサービス提供をしています。
まずは副業として始めてみるのも手

リハビリテーションの仕事を手放して、思い切ってパーソナルトレーナーになるという人もいるかもしれませんが、おすすめは副業から始めることです。
副業で行ってみることで、自分の向き不向きもわかります。
そして、どのような知識が自分に足りないのかを自覚して、とる資格も選びましょう。
まずは、ジムでのアルバイトなどを通して、仲間を増やしていくことで、業界の動向も確認していくことができます。
リハビリ職にはないパーソナルトレーナーの魅力

最も大きな魅力は、リハビリ職と違って自分の頑張りが給与に反映されやすいということです。
診療報酬制度の枠組みからですことができる、これが一番のパーソナルトレーナーの魅力です。
それに加えて、基本的にパーソナルトレーナーをやりたいというクライエントは、少なからずやる気がある人であるという点も魅力だと思います。
リハビリの世界では、リハビリの意欲がわかずにやりたくないという患者さんも多くいます。

もちろん、意欲を引き出すのもリハビリテーション職の仕事ではあるけれど、時々それがしんどくなることってありますよね…。
もっと意欲的な人にトレーニングを提供したいと思うことも実際あります。
トレーナーもクライアントもモチベーションが高いというのはこうかも出やすいので、助かりますよね。
そういった意味では、素晴らしいトレーニングを提供して、結果が出ればwinwinの世界であるのが、パーソナルトレーニングの魅力だなと感じます。
まとめ

今回はリハビリテーション職が、パーソナルトレーナーになるにはどうするのか、パーソナルトレーナーの現状を確認しました。
パーソナルトレーナーにはNESTA PFT、NSCA CPT、JATI ATIなどの資格取得を目指しながら、まずは副業として始めてみることがおすすめです。
パーソナルトレーナーは、リハビリテーションで培った知識や技術が活かされる、数少ない職種です。
クライアントに有意義な価値提供をできれば、生涯の仕事としてはパーソナルトレーナー自身も、とても満足のいく仕事になることでしょう。
興味のある人は、一度資格について、調べてみてはいかがでしょうか。
また、パーソナルトレーナーの勉強を優先させるために、残業の少ない職場に転職してから副業や勉強にチャレンジしていくのも手です。
そのために、転職を賢く利用して、自分の市場価値を高めていく努力をしていきましょう。