

「OT(作業療法士)の仕事って、40代、50代になっても体力的にやっていけるのかな…?」
そんな不安を抱いている方、実は少なくありません。
特に、作業療法士として長年働いてきた方や、これからも働き続けたいと考えている人にとって、年齢とともに変化する体力や働き方は気になるポイントですよね。
この記事では、40代以降も無理なく作業療法士を続けていくための現実と対策について、具体的なデータや事例を交えて解説します!
実際に、現在働いている40代OTに体力面についても聞いてみました。
作業療法士は体力勝負?仕事の内容を再確認!
OTの仕事内容とは?
作業療法士の仕事には、以下のような業務が含まれます:
作業療法士業務
- 患者さんの評価(身体・精神・生活環境など)
- リハビリプログラムの作成と実施
- 自助具や装具の作成
- 基本動作、日常生活動作(ADL)の訓練
- 書類作成・カンファレンス参加
- 後輩指導
- 家屋調査や環境調整
- 勉強会準備や勉強会の開催

病院では主にこういった仕事が多いですよね。
勉強会は業務寄りのものと業務外の物とあるかもしれませんが、業務として後輩への講習会という形をとることも多いですね。
肉体的にハードな場面とは?
体力を使う仕事
- ベッドから車椅子への移乗介助
- トイレや入浴の日常生活動作訓練
- 基本動作訓練
- 高齢者や重度障害のある方の身体サポート
- 看護、介護職への介助指導
- 時間外の勉強会
- 院内の移動
OTだから後言って、基本動作の訓練を全くしないこともありません。
そのため、PTと同様に、基本動作に介入する時には介助が必要となることもありますよね。
介助者と利用者の方の耐格差によっては、かなり体力的に大変になることもあります。
できるだけ自分の力を使わない介助方法を身に着けていく必要はありますよね。
ただ、例えば病院の環境や、リハ道具の充実具合やマンパワーによっても体力的負担は変わってきます。

また、地味に体力を使うのが院内の移動です。
エレベーターを職員は使わないようになどの規制がある施設もあり、階段の上り下りなどで体力が必要なことがあります。
特に病院の敷地が広い場合は、階の移動や多職種に直接話したい話があるときの移動が多くなります。
データで見る!40代以降の作業療法士の実態
年齢別の作業療法士分布(日本作業療法士協会・2022年)
年代 | 人数(推定) | 全体に占める割合 |
---|---|---|
20代 | 約27,000人 | 約21% |
30代 | 約38,000人 | 約30% |
40代 | 約32,000人 | 約25% |
50代 | 約20,000人 | 約16% |
60代以上 | 約8,000人 | 約6% |
40代・50代も合わせて全体の約41%を占めており、実際に多くの中堅・ベテランOTが活躍中!

もっと若手が多いのかなと思ったのですが、意外に40代以降の人数分布は少なくないです。
ただ、日本作業療法士協会に所属しているOTの年齢別分布の為、若手程協会に入っていないという現状もあるので、そこは注意が必要です。
作業療法士協会組織率
日本作業療法士協会の2023年度の組織率は、53.7%でした。
これは、会員数が61,015名、有資格者数が113,649名であることに基づいています。
組織率は前年の56.8%から低下しており、会員数も減少傾向にあります。

私が入職したときには80後半の%でしたので、かなり落ち込んできていることがわかりますね。
ただ、6万人以上の40代オーバーの作業療法士が活躍はしています。
40代以降のOTが感じる「体力的な不安」の正体
40代以上になると、実際に体力自体がおちるのでしょうか?
体力よりも「疲労の回復力」が落ちる
40代以上が感じる体力的な不安
- 若い頃より「一晩寝ても疲れが取れない」
- 長時間の立ち仕事がきつく感じる
- 無理がきかなくなる
一日は同じように動けても、継続するとなると難しい現状はあるかもしれませんね。
特に、リハ職は休日数の少ない職種です。
その生活を長年続けてきたことで、溜まる疲労感はあります。
リハビリ職の休日についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。
リハビリ職は休みが少ない?知るべき年間休日の決まりとは?年間休日の確認の仕方
心理的ストレスとの相乗効果
心理的な要因
- 責任のあるポジションが増える
- 家庭(育児・介護)との両立
- 職場の人間関係・管理業務も増加
体力の低下や回復力の低下だけでなく、40代は様々な心理的なプレッシャーがかかる年代でもあります。
責任あるポジションについたり、後輩が増えたりすることでの役割の変化や実際の業務の増大などが考えられますね。
また、生活でも育児や介護と重なる場合もあり、体力的にしんどくなってくるという人も多いです。

30代から40代は子育て真っただ中というパターンの人も多いですよね。
両立という観点からも、体力、精神力共に両立しにくくなります。
それでも40代以降も続けていける!理由とコツ
年齢と経験が武器になる
- 利用者との信頼関係を築きやすい
- 多様なケース対応力が高い
- 後輩指導など新たなやりがいも増える
経験を積んでいる40代以降は、さまざまなイレギュラーにも対応可能な人材に成長していることが多いです。
そのため落ち着いて患者対応ができ、利用者の信頼も得やすいです。
その点ではコンフォートゾーンが広がっているということですね。

コンフォートゾーンは楽にできる範囲が広がっているということです。
ラーニングゾーンは少し頑張ればできることであり、ここを頑張ることで徐々にコンフォートゾーンを広げることができます。

逆にコンフォートゾーンの仕事ばかりではやりがいを失ってしまうこともあります。
そのため、後輩指導などで新たな役割をもつことで、逆にやりがいを見出して仕事を続けられるという人もいます。
OTの40代以降は働き方を見直すことで継続可能!
OTとひとくくりにしていても、業務が多様であるがゆえに、働き方も多様なのがOTの特徴です。

このままでは体力的にしんどいかもしれないな…という場合は、体力を温存できて、今までの経験が活かせるような職場を探すことは可能です。
■勤務形態の工夫
まずは勤務形態を見直すことも必要です。
- 非常勤勤務や時短制度の利用
- フルタイムでも曜日固定や業務分担で調整
地域にもよりますが、作業療法士(OT)の平均時給は、約2,000円から3,000円とされています
そのため、経済状況が許すならば非常勤という選択肢も可能になってきます。

非常勤であっても下記の条件を満たせば社会保険も適用されます。
社会保険適用条件
週の勤務時間が20時間以上であること(残業時間は含まれません)。
給与が月額88,000円以上であること(残業代、賞与、通勤手当などは含まれません)。
2ヶ月を超えて働く予定があること。
学生ではないこと(ただし、休学中や定時制、通信制の学生は対象となります)
条件によっては非常勤でも、正職員と同様程度の給与をえることができます。
■職場選びのポイント

3度転職して考えるのは、職場によって効率化がどの程度されているのかというのもポイントだと思います。
非効率的な職場では、体力的な負担も多くなります。
- 書類業務が効率化されている
- 重介助の少ない配属先(精神科・通所リハ・訪問など)
- チームワークが良く、助け合える職場環境
人間関係によっても休みやすい、休みにくいがあるので、この辺りが無理ができない年齢になると辛い原因になることもあります。
また、十介助が少ない職場は存在します。
そのため、自分の体力面を考慮しての転職も選択肢としてはおすすめです。
■自分の健康管理も大切
作業療法士自身が、体力を維持する努力も必要です。
- 適度な運動習慣(ウォーキングやストレッチ)
- 睡眠・食事の質を見直す
- 年1回の健康診断は必須
特に、仕事をして、子育てをしていると、睡眠がおろそかになりがちなので見直してみてはいかがでしょうか。
実際の声:40代以降も続けているOTのリアル
実際に40代以降の知り合いのOTに体力面についてインタビューをしてみました。
ケース①:通所リハ勤務45歳女性
「体力的にきつくなってきた頃に、通所リハに転職しました。介助は最小限だし、業務の流れも落ち着いていて助かっています。時間通りに帰ることができています」
ケース②放課後デイ勤務45歳女性
「回復期の大きな病院では体力的にも、常に査定もあり、勉強会も多く精神的にもきつくなってきました。放課後デイに就職したことで子ども達との畑作業や遊びの中での関りが増えて、転職しておいて良かったと感じています。」
ケース③:訪問OT47歳男性
「以前の急性期病院では体力的にしんどいと感じ、自宅へ帰るとクタクタでした。しかし、訪問に転職してからは自分のペースで動ける。何より利用者さんの生活に密着した関わりがやりがいです」
ケース④回復期リハ勤務42歳男性
「回復期は体力は必要だけれど、管理職になってある程度指導業務が増えてきたことで、普段は体力的な問題はまだ感じていません。女性だったらきつい部分はあるかもしれませんね」

中には体力的にまだまだ大丈夫と感じるOTもいるようですが、やはり病院よりもデイや訪問の方が体力的にみれば体力を温存できると感じているようでした。
特に女性は今後更年期の時期にもなるので、体力を必要とする場所はしんどくなってくる可能性はありますね。
まとめ:OTは年齢を重ねても続けられる!
この記事のまとめ
- 作業療法士は40代以降も多くの人が現役で活躍
- 働き方や職場環境を見直せば、無理なく続けられる
- 業務内容は体力がいるものも多い
- 特に病院や施設よりデイや訪問リハなら体力面での心配は減る
- 経験が増すほどコンフォートゾーンと呼ばれる「自分が楽にできること」が増えてくるので、経験するほど仕事は行いやすくなる
「もう若くないから…」と諦めるのはもったいない!
今の自分に合ったスタイルで、作業療法士としてのキャリアを長く楽しみましょう!