
作業療法士(OT)として働く中で、キャリアアップや職場環境の改善を考え、転職を検討することは珍しくありません。
しかし、「何年目で転職するのがベストなのか?」という疑問を持つ人も多いでしょう。

ちなみに私は5年目、10年目での転職経験があります。
転職は生活面での変化がある場合などもあるので、一概には何年目!と言い切れないのが難しいところですよね。
ただ、作業療法士の転職はキャリア形成に大きく影響するので、その点を踏まえる必要があると思っています。
本記事では、作業療法士の転職に適した年数について、経験年数別のメリット・デメリットを詳しく解説します。
転職を成功させるためのポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
作業療法士の転職は何年目が適切?


私が通った学校でも石の上にも3年!と先生が言っていました。
でもそれって本当?
転職のタイミングはいつがいいのだろうか?って悩みますよね。
作業療法士の転職タイミングは、以下のようなポイントで考えると良いでしょう。
転職時期を考えるためのポイント
- スキルが身につく時期か
- 転職市場での評価が高まる時期か
- キャリアアップがしやすいタイミングか
- 現在の職場での経験が十分か
- ライフワークバランスを考えた時両立できるか
一般的に、作業療法士の転職は3〜5年目が最適とされています。
しかし、それ以前やそれ以降でも転職はもちろん可能です。
それぞれのタイミングでのメリット・デメリットを見ていきましょう。
【1年目〜2年目】早期転職は慎重に
1から2年目の早期転職を考える人も中にはいます。

実際に1、2年目で辞めたという人もチラホラいますよね。
早期退職にはメリットとデメリットがあるので、具体的にどういったものか知っておいて損はありません。
1,2年目で退職のメリット
メリット
- ブラック職場からの脱出が可能
- 環境を変えることで、ストレスを軽減できる
- 若手のため、採用枠がある職場が見つかりやすい
作業療法士が働く場所の環境は病院や施設によって、様々です。

私も1年目で入職した病院は夜の1時までサービス残業をしたことがあります。
今思えばもっと早くに退職するべき場所だったと感じていますよ。
そのため、職場がかなりのブラック企業だった場合には早期に退職するのは、人生において決してマイナスにはならないと感じます。
1,2年目で退職のデメリット
ポイント
- スキル、経験が不足しており、次の職場の即戦力になりにくい
- 「忍耐力がない」とみられる可能性がある
- 給与や待遇があまり上がらないことが多い

確かに次に雇う職場の視点でみると、1年で辞めてしまった理由って気になりますからね。
結論:やむを得ない理由がある場合は転職OK
もし現在の職場がブラック企業であったり、精神的・身体的に耐えられない環境である場合は、無理せず転職を検討しましょう。
精神的に追い詰められている場合は、そこで無理をしてしまうと一生引きずることにもなりかねません。

二つ目の職場では女性上司が、男性新人に対して厳しく、かなり追い詰められている男性新人職員が過呼吸になってしまっている場面を目撃したことがあります…。
そこまで精神的にしんどいのには、理由があるでしょうし、一旦方向性を変えるというのは悪い選択肢ではありません。
ただし、「新しい環境に慣れないから」といった理由での転職は避けた方が無難です。
ある程度余裕がある状態ならば、自分がなぜ辞めたいのかの理由をはっきりさせておくと、次の転職に役立ちますよね。
【3年目〜5年目】転職のベストタイミング!

最も転職に向いているとタイミングが、3~5年目です。
その理由を紹介していきますね。
3年目〜5年目退職のメリット
3年目〜5年目退職のメリット
- 臨床経験がある程度積めているため、即戦力として評価されやすい
- 新しい職場でも適応しやすい
- キャリアアップや待遇アップを狙いやすい
- 専門分野を考えた転職が可能
3~5年目は作業療法士としてのスキルが向上してくる時期です。
そのため、次の転職時にも知識をや経験を活かすことができ、即戦力として重宝されます。
一方で年齢的にはまだ若く、先輩、後輩のバランスでみても若手~中堅的なポジションで集団に馴染みやすいというのもポイントです。
若さがあるため、環境適応力、転職での環境変化に耐えうる体力もあり、サクッと転職しても良い時期です。
自分の中にも作業療法士としての興味や関心がどの方向に向いているのかと言うのがはっきりしてくる時期でもあるので、職場選びに大きく影響すると感じます。
また条件面でのキャリアアップにもつながりやすく、転職市場においては市場価値が高い時期だと言えます。
中には結婚などのワイフイベントがある場合もありますが、多くは子どもがいない状態で転職をできる人も多いので、自分の知的好奇心に従って転職できるというのも、転職しやすい理由です。

年齢とともにライフワークバランスが気になる時期でもあるので、将来を見越した転職も必要ですね。
3年目〜5年目退職のデメリット
3年目〜5年目退職のデメリット
- 早めの転職に比べると、新しい職場での学習負担が大きい
- 経験を活かせる職場を選ばないと、キャリアダウンの可能性も
デメリットとしては、期待されている分、その期待に応えるというプレッシャーはかかるかもしれません。
そして、経験を活かせる職場選びをしないと、今まで培ってきた経験や知識が役に立たない場合もあります。
そういった転職をしてしまうと、再度転職が必要だったり、作業療法士としてのスキルを磨くことに消極的になると言った可能性も考えられます。
結論:キャリアアップを狙うならこの時期が最適!
将来を見越した転職がおすすめ。
3〜5年目になると、基礎的なスキルが身についているため、即戦力として採用されやすくなります。
また、専門分野の選択肢も広がるため、自分に合った職場を探すのに適したタイミングです。
【6年目〜10年目】より好条件での転職が可能

6年目~10年目というと完全に中堅以上の扱いになってくる職場が多いですよね。
作業療法士は上の世代が少ないピラミッドの状態です。
そのため、若手の方が多いという点でも、この年代は指導的な役割を担うことが多いです。
また、出産などのライフイベントがあると、転職にも迷う時期となります。
6年目〜10年目転職のメリット
6年目〜10年目転職のメリット
- 専門性が高まり、より高待遇の職場が狙える
- 管理職候補として採用されることがある
- 転職の際に交渉力が上がる(給与・福利厚生の改善)
- リーダー職や教育担当などのポジションも選べる

私も10年目で子どもがいる状態での転職を経験しましたが、年収は130万円以上UPした経験があります。
そのため、好条件での転職が期待できるというのは本当です。
責任のある仕事を任されたいと感じている人は、この時期の転職で管理職候補として転職するという手もあります。
同じ職場では管理職のポジションがないといった場合に、転職により叶える方が現実的だからです。
年功序列でポジションが埋まっていくと言った場合に、転職をすることでそのポジションにつける可能性が高まります。
6年目〜10年目転職のデメリット
6年目〜10年目転職のデメリット
- 責任が大きくなる職場が多い
- 既存の人間関係をリセットすることへの不安がある
- 家庭の事情などで転職しづらい場合がある
人間には現状維持バイアスと呼ばれ、変化を嫌う傾向にある生き物です。
それは特に年齢を重ねると影響を受けやすくなります。
そのため、今まで気づいた職場での人間関係がリセットされ、新しい環境に身をゆだねるのは不安に思うこともあります。
また、6から10年目では家庭環境的に転職条件がおのずと絞られてしまう場合も多いです。

女性でも男性でももっと早いうちに好条件の職場に転職しておけばよかった…と悔やんでいるPT,OTもいますね。
6〜10年目の作業療法士は、管理職や教育担当、専門職としての道が開かれるタイミングです。
給与や待遇の交渉もしやすくなり、条件の良い職場を見つけやすいでしょう。
結論:キャリアの選択肢が広がる時期ではあるが、ライフワークバランスも問われる時期
【10年目以降】管理職・独立も視野に入れる

10年目以降は大卒後の年齢で行くと、30代後半に差し掛かってきます。
そのため、若い頃よりは転職のハードルは上がっています。
しかし、スキルさえあれば転職ができないということではありません。
10年目以降の転職メリット
意外に探せば管理職候補を探しているという求人はあるんです。
またこの頃になると見えてくるものがあるので、若い頃とはまた違った方向性で作業療法士として働いてみたいと思うという人も多いですよね。
10年目以降の転職メリット
- 管理職やリーダー職への転職がしやすい
- 独立開業やフリーランスも視野に入る
- 業界内の人脈が広がっている
- 専門分野のエキスパートとしての評価が高まる
特に作業療法士は女性が多く、30代あたりはまだ子育てとの両立を主体としており、管理職になりたくないという人材も多いです。
そのため、管理職を外部から募集しているという求人もあります。
そして、病院や施設の立ち上げや新たな部門の開拓など、様々な場面で経験豊富な10年目以降の人材を募集している場合がありますよ。
10年目以降の転職デメリット
10年目以降の転職デメリット
- 転職のハードルが上がる(経験豊富なため、採用側の期待も大きい)
- 転職回数が多いとマイナス評価になることも
- 年齢が上がると、適応力が求められる
結論:キャリアの集大成としての転職を考える時期!
10年以上の経験を持つ作業療法士は、管理職や指導者としての役割を求められることが多いです。
スキルがある人はパーソナルトレーナーなどの独立開業や、フリーランス作業療法士としての道も視野に入れてみましょう。
実際にフリーランスとして非常勤で様々な場所でアドバイザーとして働いている作業療法士もいます。
パーソナルトレーナーが気になる方はこちら。
リハビリ職種PT.OTがパーソナルトレーナーになるにはどうする?
作業療法士の転職成功のポイント

作業療法士の転職には転職時期も大事であることがわかりました。
そのほかにも転職成功のポイントはいくつかあります。
それらをお伝えしていきますね。
作業療法士転職成功ポイント
- 自己分析を徹底する
- 転職市場をリサーチする
- 転職活動のスケジュールをたてる
1. 自己分析を徹底する
どの時期に転職をするにしても、自分で自分の能力や希望、市場価値をしっておくことはとても大切です。
- 自分の強みと弱みを整理する
- 転職の目的を明確にする(給与UP、キャリアアップ、環境改善など)
- どんな職場が自分に合うかを考える
これらがおろそかになって転職をしてしまうと、永遠に満足できずに転職の無限ループに陥ってしまいます。
そうならないためには、自分の強み、弱み、目的、希望を言語化していくことが必要です。
言語化ができれば、自分の望む転職に一歩近づくことになります。
2. 転職市場をリサーチする
自分の中だけで考えていても答えは出ないことがありますよね。
そんな時には転職市場をリサーチすることが必要です。
- 転職サイトやエージェントを活用する
- 求人情報を比較し、条件をチェックする
- 職場見学や説明会に参加する
行動することで、自分の市場価値を知り、どのような選択肢があるのかを現実的に検討できます。

転職しようかな…ってモンモンと考えている時が一番しんどいですよね。
私も転職エージェントに登録したり、OT仲間から情報を集めたりしたり行動を起こすことで、案外転職ってできるもんだなって実感した経験があります。
3. 転職活動のスケジュールを立てる
はじめての転職活動においてはどの時期からどう動けばいいの?と思います。
基本的にはこのようなスケジューリングでOKです。
時期 | 活動内容 |
---|---|
6ヶ月前 | 情報収集・転職サイト登録・転職エージェントとの相談 |
5ヶ月前 | 応募書類の準備・履歴書・職務経歴書の作成・面接対策 |
3〜4ヶ月前 | 求人応募・面接実施・条件交渉 |
1〜2ヶ月前 | 内定獲得・退職手続き・新しい職場での勤務開始準備 |
もっとスケジュール的には前から動いても、詰めてしまっても、どちらでもOKと思います。
しかし、余裕を持ったスケジューリングでは、最低でも半年程度前からは転職エージェントとの相談を開始をおすすめします。

1年間における転職ベストシーズンについては違う記事でお伝えします。
転職の1~2か月前は有給消化もあるでしょうから、退職手続きや、勤務開始の準備はそれほどかかりません。
転職の時期までに、有給消化時のリフレッシュのスケジュールも考えておくと、転職自体ワクワクしたものになりますよ!
まとめ:転職のタイミングを見極めよう

作業療法士の転職は、3〜5年目が最適とされますが、それぞれの年数に応じたメリット・デメリットがあります。
ただ、自分の生活面とのバランスをとれるような転職が大切だと、痛感しています。

誰しも仕事だけが生活のすべてではありません。
そのために、この時期の転職で早めに作業療法士としてのスキルをあげておこう、条件面を整えておこうと、狙って転職をしていくということが必要になります。
転職時期は、そういった自分の暮らしたい暮らし方を考えて決めていってくださいね!
転職を成功させるためには、自己分析と市場調査をしっかり行い、計画的に進めることが重要です。
あなたのキャリアに合ったベストなタイミングで、理想の職場を見つけましょう!